Column201301 of 川本法務事務所

ベトナムのフランチャイズ法制

2013-1-17

ベトナムのフランチャイズ法制

ベトナムのフランチャイズ法の専門家であるManh Hung Tran弁護士の話を聞いてくる機会がありました。最近ではベトナムやミャンマーへの投資が進んでいるので、今回は、受け売りの話を書きたいと思います。
ベトナムの人々は、日本人と法律意識が共通している部分があることは良く指摘されます。法律関係よりも信頼関係が第一であり、問題が生じた時に問題を解決するための話し合いをする文化があるという意味では、日本の企業が進出しやすい環境があるのではないかと思います。
ベトナムには「フランチャイズ法」という名の法律はありませんが、一般法である商取引法とフランチャイズ規則(自主規則ではなくて、ちゃんとした法規範)があります。一般的な情報開示の他に特徴的なルールがいくつか存在しています。
代表的なのは「1年ルール」と呼ばれるルールで、ベトナムでフランチャイズ事業を営む者(海外のマスターフランチャイザーを含む。)は少なくとも1年以上事業をやっていなければならないというルールです。これは中国のフランチャイズ法にある、少なくとも2店舗の直営店を1年以上経営していなければならないという規制と同様で能力担保の趣旨です。その他、フランチャイズ登録をしなければならないというのは、アジアのフランチャイズ法としては比較的スタンダードです。
ベトナムの場合、特徴的なのは、知的財産権(フランチャイズの場合には一番関係するのは商標権ですが。)については、ベトナムの知的財産法の規制を独立して受けるため、フランチャイズ契約のうち、知的財産権に関する部分は他の条項と分けて書かなければならないというルールがある部分ではないかと思います。
その他、適用法がベトナム法ではなくてもよい(当事者の合意に任せる)という規定も特徴的かもしれません。
個人的な印象を言えば、中国や韓国、マレーシアなど、これまでに私が見て来たフランチャイズ法に比べると、当事者の拘束度合いは低く、当事者の任意性に任せる部分が多い印象ではあり、フランチャイズ展開がやり易い印象です。
また、Economic Need Test(ENT)という市場規制があるため、リテールビジネスにおいては逆にベトナム資本以外の外資が直接展開をし難い状況がなおさらフランチャイズビジネスの促進に寄与しているような印象も持ちます。

ただし、当事者の契約による任意性が高いということは、日本の企業にしてみれば、契約書のドラフティングをしっかりしないと、様々なトラブルに悩まされるということも事実です。これは海外取引に共通の事項ですが、十分に気をつけなければなりませんし、専門家が介在していなければならないのも事実でしょう。

Manh Hung Tran弁護士は、マスターフランチャイズ方式で展開をすることがベトナム展開の最も最適な方法であると言っていましたが、私もこの意見には賛同できました。

コンプライアンス時代の企業経営

2013-1-14

コンプライアンス時代の企業経営

企業も新年の業務が始まって1週間がたち、だんだん通常の業務体制になってきたでしょうか。
今年は、どの企業からも景気回復を祈りつつ去年よりはいい年になるといいなぁという声が聞こえてきます。
さて、この数年コンプライアンス経営ということが多く叫ばれるようになりました。Complianceは法令遵守と日本では訳されることが多いですが、Comply(従う・応じる、要求等を満たす)の名詞形ですので、本来は「従うこと、応じること、要求を満たすこと」という意味です。
私は、企業の法務担当をさせていただいた時間が非常に長く、コンプライアンスの担当などもやらせていただきました。勢い、企業はコンプライアンス経営といって管理部門の強化を図りたがりますが、私は法務部門に居たからこそ、企業経営は法務部門が支配してはいけないと思っています。法務部門というのは、法律を企業の利益追求のために上手に使用しなければならないと思っているのですが、法務部門はとかく法律を守ることを目的としてしまいがちです。
しかし、残念ながら法務部門には、イマジネーション豊かに、今まで誰も考えつかないような発想をして、新たなビジネスを生み出す力というのは非常に少ないように感じます(中には、そういう方もいらっしゃるでしょうけど)。
企業の名脇役として、法務部門(外部専門家もしかり)が法律を上手に利用するようアシストしている企業が、実はコンプライアンス経営が上手にできている会社ということが言えるような気がしてなりません。

新年のご挨拶

2013-1-06

新年のご挨拶

皆さん、あけましておめでとうございます。
本年も、何卒よろしくお願い申し上げます。
新年早々、日本経済が上向くかどうかという話題で世間は騒がしいところですが、それはそれとして、日常生活は毎日淡々と進んでいくというお正月だったような気がします。
今年も、フランチャイズや海外進出支援といった分野で、皆様の事業をサポートできるように精一杯取り組んで参りますので、何卒、よろしくお願い申し上げます。

新年早々、私は、海外関係のメールのやり取りやら新聞のチェックやらと、どうやら今年は「英語」がキーワードの一年になるかもしれないなぁという予感がしています。
「一年の計は元旦にあり」と言いますが、正月早々から英語に触れる機会が多かったので、今年は自分自身も英語の能力を少し磨いて、仕事にもプライベートにも役に立つようにしたいと思っている今日この頃でした。

ページトップへ